謎解きはディナーのあとで

謎解きはディナーのあとで

謎解きはディナーのあとで

失礼ながらお嬢様、この程度の真相がお分かりになられないとは、お嬢様はアホでいらっしゃいますか。

「失礼ながらお嬢様、やはりしばらくの間、引っ込んでいてくださいますか」


おおよそ執事の言動とは思えない毒舌ぶり、恭しく敬語を

使いながらも、この執事には主人を敬う気持ちなんてみじ

んもないのです(笑)



才色兼備の女性刑事である主人公宝生麗子は泣く子も黙る

大財閥のひとり娘。そんなセレブな麗子、身分を隠して刑

事をやっているのです。



ここまではよくある設定ですがこの本の美味しい部分は

やっぱり麗子と執事の掛け合いにありますね。行き詰まり

になってしまいそうな難事件に頭を悩ます麗子は捜査中の

案件をこう、ポロッとこの執事に話しちゃうんですね。と

いうかこの時点で守秘義務的にどうよ?とは思いますけ

ど・・・^^;



執事なんて麗子にとっては、執事影山のような口の固そう

な男は話相手として申し分ないわけです、それだけが理由

なので、麗子としては柱に話しかけるがごとく、返事なん

て期待してないわけです。



でまぁ、予想に反し(反するどころか露骨な暴言付きで)

執事はいとも簡単にその「難事件」を解いてしまう。

それも麗子から伝えられた二次情報だけで。

そんな芸当をやってのけドヤ顔どころが紳士に礼儀正しく

「お許しください、お嬢様。わたくし
チャンチャラおかしくて横っ腹が痛うございます」

ときたもんだ。ご主人様の威厳なんてあったものじゃない

ですよ!笑



とまあ、推理以外のところにスパイスが効いている分堅苦

しくなく笑いをそそられる作品になっています。



僕普段、推理小説読まないんですけど、推理小説

頭が凝り固まるような、そんなマイナスイメージを払拭し

てくれるという意味で本作は推理小説の入門書と言えるの

ではないでしょうか。


一つ気になった点としては、物語の構成上全ての推理は

"宝生家の屋敷内にいる"影山脳内の推測によってなされて

います。推理と現場との一時的接触が皆無なのです。この

設定によってたしかに執事影山の万能性は強調されます

が、僕としてはやはり「事件は現場で起こっているん

だ!」って叫びたいわけですね〜笑



僕はこの本は中村佑介さん装画という事で衝動買いしてし

まいまして、いわゆるジャケ買いなんですけど、中身を読

まないで買った割には楽しめた作品なんじゃないかな、と

思います。

謎解きはディナーのあとで

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